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トーコン新語 Vol.18『AEC(不具合報告)―「その一件」を、全員の資産に変えるということ―』【業務委託】

トーコンの期首は10月。既に半期が過ぎ ひと月半となります。
前期もいくつかの事業所から報告が上がってきました。
品質不具合、労働災害、物損事故
——いずれも「起きてほしくはないが、起きた以上は無駄にしない」案件です。

これらを一つひとつ確認し、初動対応(トラブルが起きた直後の動き)から
是正処置(問題を直す対応)、そして再発防止策(同じことを繰り返さない工夫)まで、
報告を受けながらAECメンバー(Anzen Eisei Committee)でフォローを行っています。

私はAECの本質は「共有の質」にあると考えています。
その共有もAECでは、単なる報告では終わりません。
重要なのは「水平展開(他の現場にも同じ対策を広げること)」です。

ある事業所で起きたミスは、他の8つの事業所にとって未来の自分です。
つまり、「他人事を自分事に変換する力」が問われます。

ここで、AEC不具合報告という取り組みの光と影を整理します。

【メリット】

  • 再発防止力の向上として、ナレッジ共有(知識の共有)が進み、同じミスが減少。
  • 現場力の底上げとして、属人化を防ぎ、組織として強くなる。
  • 安全文化の醸成として、「報告することが評価される」空気ができる。

【デメリット】

  • 心理的負担として、報告を叱責と感じる現場もあり、萎縮のリスク。
  • 工数の増加として、報告書作成や会議時間が増え、現場負荷が上がる。
  • やらされ感として、目的が伝わらないと、形式だけの運用になる。

制度や仕組みは重要ですが、それ以上に重要なのは“人の状態”です。
ですから、報告書には必ず本人からのヒアリングが反映されています。

少し具体的な場面で考えてみましょう。
たとえば、ある現場担当者が作業中に誤って資材を破損させてしまったとします。
本人はすぐに上司へ報告しました。
しかしその後、強い口調で叱責され、始末書を書かされ、翌月の評価にも影響が出た
——そんな経験をした人は、次に何か問題が起きたとき、
果たして素直に報告できるでしょうか。
多くの場合、「また怒られる」「評価が下がる」という恐怖から、
小さなミスを自分の中に抱え込むようになります。
そして、その"抱え込み"が積み重なったとき、
初めて誰も気づけなかった大きな事故が起きるのです。

逆に、同じミスをした別の担当者が
「報告してくれてありがとう。何があったか教えてほしい」と
受け止められた組織ではどうでしょう。
その人は次も迷わず報告します。
周囲の同僚も「報告すれば助けてもらえる」と学びます。
こうして、組織全体に「早期発見・早期対応」の文化が根づいていきます。

ミスをした人が黙る組織は、必ず大きな事故を起こします。
逆に、安心して報告できる組織は強い。
これはきれいごとではなく、現場で実際に起きてしまうことです。
だからこそAECでは、厳しい意見が出ながらも、報告を受ければ必ずこう伝えます。
「報告ありがとうございます」と。

AEC不具合報告は、完璧な仕組みではありません。
むしろ、未完成だからこそ価値があります。
毎月、どこかで誰かが失敗し、それを全員で学びに変える。
この“地味で、少し面倒で、でも確実に効く取り組み”を、私たちは続けています。


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